2018年9月30日日曜日

8月のこと

今日は、本当は坂戸の”TTT森の響きホール”という、個人の方がご自分で設計して作られたホールで、ルネサンス・フルートのアンサンブル、ソフィオ・アルモニコの演奏会があり、私も出演させていただく予定でしたが、台風の影響で中止になってしまいました!

そんなわけで少し時間が出来ましたので、いつか書こうと思っていた、この前の8月のことについて書きたいと思います。

記録的猛暑となった今年の夏、8月22日の横浜市鶴見でのソフィオ・アルモニコの演奏会とその翌日、23日のこれもソフィオ(でも全く違うプログラム)の録音に参加させていただくことになりました。

出演が決まったのが8月に入ってからと急だったので、しばらくご無沙汰していた計量記譜(ルネサンス時代に用いられていた小節線のない楽譜)と格闘しながらの慌ただしい毎日でした。
22日の演奏会は、”史上初の印刷楽譜「オデカトン」”というタイトルで、ヴェネツィアのペトルッチによって1501年に出版された、世界初の活版印刷楽譜である「オデカトン」(”百の歌”の意味)から数々の名曲を演奏するというものでした。
ルネサンス・フルートで本番をするの自体、1年ぶり位?で、感覚を思い出すのと皆さんについていくので必死でしたが、なんとか無事に終えました。
ソフィオ・アルモニコの演奏会ではいつも、歌詞の内容をお客様に伝えるために、演奏の前に朗読やちょっとした小芝居をされていますが、私も今回、朗読、芝居に挑戦!
特に芝居では、隣で演じる前田りり子先生のテンションに引きずられたか(?)、本番になったらなんだかとても楽しくなり、かなりのハイ・テンションで演じました。
(後で演奏会の録音を聞いたら、そのテンションの高さに自分でびっくり(゚д゚)!)

その翌日は、またソフィオの皆さんとスザートの「ダンスリー」の録音でした。
これは、10月5日から来年2月まで上野の森美術館で開催される「フェルメール展」の音声ガイド用の音楽と、それを含んだ「ダンスリー」全曲CDリリースのための録音でした。
キングレコードの立派なスタジオで、録音の色々な作業を見聞きできて貴重な時間でした!

さて、実はその録音の翌日から、イギリス&オランダに旅行に行く予定にしていました。
旅行自体は数か月前から計画して、飛行機などもとっていましたが、8月に急に入ったこれらの仕事で、秋のために色々と準備しようと思っていたことが思うようにできず、一瞬キャンセルまで考えましたが(何しろ一人旅だったので、色々なことが自由です・・)、ここで行かなければ絶対に後悔する、と思い直し、思い切って行ってきました。

出発前日の録音の仕事が何時に終わるか分からないと言われていたので、その日は予約していた都内のホテルに宿泊し、朝起きてスカイライナーに飛び乗り、なんだかくたくたのまま飛行機に乗り込みました。

旅行の大きな目的は、オランダのユトレヒトである古楽祭に行くことでしたが、その前に、あまりちゃんと行ったことのなかったロンドンに行ってみようと思い、まずロンドンで4泊、その後オランダで4泊の旅でした。

ロンドンでは、ミュージアム(ほとんどどこも無料!)に行ったり、中1日は電車で2時間ほどのヨークという町まで足をのばし、知り合いの方に会いに行ったりしました。
ロンドンの郊外にあるミュージアムに楽器の展示があるというのを見つけたので、そこにも行ってみました。
Horniman Museum という、楽器の他は、動物のはく製とか恐竜の化石とかがあるような自然史にも力を入れている博物館で、その日は祝日だったので、家族連れで大賑わいでした。(ここには素敵な庭園がいくつもあって、みんなのんびりベンチに腰かけて日光浴したりしていました。)

フルートの展示は、結構あって、さすがにイギリスの楽器も多かったです。
ベーム式フルートが発明された後に使われていた、”ベーム式フルートとそれ以前の円錐管多鍵式フルートとのそれぞれ良い所をミックスさせた楽器”の展示も結構あって、興味深かったです。
あまりにも色々な時代の、色々なタイプのフルートを見ていたら、これらの名前を覚えようというよりも、”楽器は本当に音楽をするための道具なのだなぁ”という実感が湧いてきました。
道具だからその時代の音楽によって様々に形を変えていくのです。
もちろん、なるべく良い道具を使いたいし、道具そのものの美しさがあるのも事実です。

その後、オランダに移動しましたが、さすがに留学していた所なので、とても懐かしく(行くの自体は4年ぶりでした)、イギリスにいたときよりもずっとリラックスして楽しみました。
友人たちに会ったり、昔住んでいた家にも行ってみたりもしました。

そう、私が住んでいた家の大家さんは、私がいた時からかなり高齢でしたので、お元気でいらっしゃるだろうか、と思っていましたが、今回、家の前に行ってふらふらしていた所、なんとその大家さんがちょうど自転車で帰ってきて、家の中に入っていったのです!
とっさのことで、すぐに家の中に入ってしまったので話しかけることは出来ませんでしたが、お見かけできて嬉しかったです。
そしてその私が住んでいた家の隣にはお菓子屋さんがあり、オランダ名物のボッシュボーレンというシュークリームやアップルパイなどが美味しいお店でしたが、そこにも入ってみた所、見覚えのある店員さんがいたりして、タイムスリップしたような気持ちになりました。

さて、今回の一番の目的だったユトレヒトの古楽祭ですが、留学していた時にも自分でも”フリンジコンサート”シリーズに何度も出演させてもらったり、演奏会を聴きに行ったりしていましたが、今、改めて行ってみると本当に豪華なよいフェスティバルで、久しぶりに行ってみて本当に良かったです。
約10日間、毎日10以上の演奏会や講演会が、古い街並みの残るユトレヒトの教会や歴史的建物を中心に開かれていて、古楽祭のテーマ(今年のテーマは”ブルゴーニュ”でした)はあるものの、演奏会では幅広い時代と地域の音楽が取り上げられています。

私はユトレヒトにいられる日が限られていたので、コンサートをはしごしまくり、週末には楽器メーカーや楽譜屋さんが出店している”マーケット”もあったのでそこで楽器を試奏しまくり、楽譜をあさり、短期間でしたが堪能しました。(出費もすごかったですが・・)

コンサートも、私が聴いたものはどれもとても良くて、こんな豪華な演奏会が一日に何回も聴けるなんて、なんと贅沢な~!と思いながら過ごしていました。

オランダにいた時は、またあるしな、などと思っていた古楽祭ですが、本当に贅沢な素晴らしい環境だったんだ、と今となっては思います。

さて、旅行から帰ってきてからはまた慌ただしい日々でしたが、やはりリフレッシュしてきたからか、古楽祭で色々良いものを聴いてきたからか?、新鮮な気持ちで楽しくリハーサルや本番に取り組めています。

また折を見てぜひ行きたいと思います!