今日、レッスンした生徒さんとのやり取りのことを書いておこうと思います。
その生徒さんは、この10月からフルートを始めた方で、レッスンも今日で3、4回目です。
音をのばして、息を吸って、のばして、息を吸って、というのを何回か繰り返していただいた所、初めの1、2回は大分良いのですが、だんだん”吹く”ことに一生懸命な感じになって音にも雑音が入ってくるようでした。
そこで、”日本語では「フルートを吹く」と言いますが、英語では「I play the flute」と言うんですよね”、という話をしました。
「吹く」と「play」、言葉だけ見ると、かなりイメージが違うと思いますが、いかがでしょうか。
私は、「吹く」というと何か一方向なイメージ、一生懸命で一直線なイメージが沸いてきますが、「play」と言うと、まさに「遊び」、ゆとりがあるイメージ、色々なことが見えていて楽しんでいるイメージを持ちます。
その生徒さんは、そのことがふっと腑に落ちたようで、もう一度同じ事をやってもらった所、とても良くなりました。
考えてみれば、楽器を演奏することは、フランス語では"jouer"、ドイツ語では"spielen"と言って、両方とも英語の"play"にあたる、「遊ぶ」という意味の単語です。
このことを教えてくれたのはオランダで師事していたトラヴェルソのバルトルド・クイケン先生でしたが、「義務で遊ぶ子どもはいないだろう? Just play !(ただ遊ぶように演奏しなさい!)」 と言われたことを覚えています。
楽器を習得しようとするとき、どうしても一生懸命になって、義務感や焦燥感にとらわれがちですが、ちょっとこの「play」のことを思い出してみると、それだけで何かが変わってくるのかもしれないですね。