昨日、第1回トラヴェルソ・ワークショップを行いました!
まず、フルートの歴史全体のお話をしながら、18世紀に用いられていた1キーのフルート、トラヴェルソの特徴について説明をしました。
ここに少し記しておこうと思います。
トラヴェルソは順に指を離していくとD-dur(ニ長調)の音階が出ます。
D-durの音階内にある音は音色も音程も良く、音量も出ますが、それ以外の音は、クロス・フィンガリング(フォーク・フィンガリング)と呼ばれる指使いの工夫で作っていくため、音色は焦点がさだまりにくくこもりがちで、音程もとりにくくなっていきます。
ですので、トラヴェルソのとってD-durは一番演奏しやすい調ですが、そこから離れた調に行くにしたがって運指も複雑になり、音程もとりにくくなり、演奏が困難になってきます。
このことは、現代の、どの調でも同じように美しく演奏することの出来るモダン・フルートの観点から見ると、単純に原始的な楽器であったかのように思われるかも知れませんが、18世紀という時代を見てみると、決してそうとは言えないことに気が付きます。
この時代はまだ社会全体も封建社会(王様がいて、貴族がいて、農民がいて・・というように主従関係のはっきりとした身分階級制度のある社会)で、また、音楽にもヒエラルキーや不均等性というものが存在していました。
人が生まれながらにして身分や階級が決まっていたのと同じように、楽器にも”出来ることと出来ないこと”、”得意なことと不得意なこと”があるのは当然のことと考えられていました。
・・・という説明のあと、
運指表を見ながらD-durの音階、G-durの音階などを実際にやってみました。
その後は、バロックとは全く関係ないのですが、運指に慣れるために”メリーさんのひつじ”などのかんたんな曲を何曲か吹いてみました。
そしていよいよ(?)、マタイ受難曲に出てくるコラールの練習に・・・。
昨日は、ソプラノパートのみを取り上げました。
初めは”シ”だけなのですが、割とすぐに”ラ♯”、”ソ♯”という、クロスフィンガリングで作る音が連続して出てきます。
この辺りの運指はモダン・フルートと全く違いますので、受講された方もてこずっていたようですが、何回かやっている内に通ってくるようになりました。
最後は私がバスパートを演奏して、即席アンサンブルができた! という所で終了になりました。
次回は3月13日(日)です。
一般クラス13:00~14:30、専門家クラス15:00~16:30 です。
もちろん1回の参加でトラヴェルソが吹けるようになる!ということではないのですが、何がモダン・フルートと違うのか? 何が難しいのか? など、実際にやってみると色々と感じていただける所があると思います。
トラヴェルソって興味はあるけど、今までやる機会がなかった・・・、という方の、体験の場になれば嬉しいです。
皆さまのご参加をお待ちしております☆