2日(土)に、モダン・フルートのレッスンをしました。
生徒さんはHさん。ずっと物理の世界で活躍されてきた方です。
曲はテレマンの「序曲と組曲 イ短調 TWV55:a2」でした。
もともとリコーダーとオーケストラのための曲ですが、フルートとピアノ用の楽譜も出版されていたりします。
この日のレッスンのハイライトは、「ビートを入れるとはどういうことか」ということだったと思います。
いつもとても熱心に練習されていて、この日も、速いくて細かいパッセージも”ちゃんと吹ける”状態になっていました。
でも、”ちゃんと吹く”ということを”ちゃんとやろう”とするがあまり、”全ての音が均等”になって、結果、「重く」聞こえてきていました。
なので、一個一個の音を、能動的にちゃんと吹こうとするのではなく、「フレーズの始まり、または音のグループの始まりで、”波を起こすようなきっかけ”を与えてあげて、あとの音は、それに乗ってひっくるめられて出てくる」ように吹くことを提案しました。
この、「波を起こすようなきっかけを与える」ということは、「ビートを入れる」と表現されることが多々あります。
私は、これについては色々な表現を使って説明することが多いですが、最近、他の生徒さんとのレッスンで出てきたイメージは、なんと「けん玉」!
けん玉の球を放り投げるように最初の音を始めて、後は、球が動く軌跡の中に音が自然に連なってくるかのように吹く。
Hさんは、「ヨーヨーのイメージですね。」とおっしゃっていました。
ヨーヨー、いいですね!
きっかけを与えられたヨーヨーは、その時々の、”きっかけの大きさ”によって様々なスピードや深さで下に落ち、また上がって来て、またきっかけを与えられる。
その繰り返し。
まさに、「ビートを入れる」イメージにぴったりかも知れません。
また、Hさんは水泳もされるので、”水泳の時の手のひと掻き”も、良いイメージかも知れませんね、という話になりました。
手を掻く、そのストロークの強さによって、体がどの位のスピードで、どの位の距離を進むかが決まってきます。
フルートを吹く時にも、初めの音にどのような強さ(推進力)を与えるのかを考えることが、次に続く音符たちを上手く流れの中に収めるために必要だと思います。
特に大人の生徒さん達と話していると、ご自分の中で考えて、「あ、それはこういう事ですね。」と、ご自分の言葉で返して下さるのが楽しいです。