2022年2月2日水曜日

モーダル唱法

ここ数年、中世の女声合唱のグループに参加しています。

ラス・ウエルガス・ヴォーカル・アンサンブルといって、14世紀初頭にスペインのブルゴスにあった女子修道院で歌われていた宗教歌曲集を集めた「ラス・ウエルガス写本」を歌うグループです。

今度、2月28日に演奏会を予定していて、そのために多いときには週に2回も練習に行っています。

このグループでは、”モーダル唱法”という歌い方で歌っています。
”モーダル唱法” について、私なりに解釈したり感じたりしたことを書いてみたいと思います。


まず、常に足の裏を意識して、足の裏から空気が入ってくるのをイメージします。
それが足から頭の方に向かって、体の中を通り抜けていく、その途中で声帯でたまたま声になる、という感じ。
どの音域を歌う場合でも、音域によって体の中における響かせる場所を変えようと作為しない、ということが、私にとっては新しいことで、響きは全て上あごの辺りで作られると意識します。

声を大きく出そうとか、前に押し出そうというアイデアは不要で、常に足の裏から頭の方に向かって体を通っていく息をイメージする。ひたすらイメージする。

このようにして歌っていると、私のように、声楽の訓練をそれほど受けていなくても、何時間も歌っていても声が枯れるとか、のどが疲れるということが無いことに気が付きます。

そして、この歌い方をしていると、歌いながら、一種の瞑想状態(指導の夏山美加恵さんは”トランス状態”という言葉を使っていた)になる事が容易だと思っています。

座禅など、座って行うような瞑想でも、呼吸に意識を向け続けるというやり方が一般的だと思いますが、それとこの”モーダル唱法”は、登山口は違えど、目指す山頂は同じ、という感じがします。

そして私にとっては今のところ、この瞑想状態というのは、”祈り”と同じ意味を持っています。

やはり、歌っている曲自体が、ミサ曲で、修道院の中で祈りとして歌われていたので、大きい声で歌いたい、美しい声を響かせたい、という自分のエゴを捨て去って、自分の体を通っていく息をひたすら観察し、イメージするというこの”モーダル唱法”が、理に適っているのだと思います。

この”祈り”の状態を味わえる、というのが、私がこのラス・ウエルガスのグループで歌い続けている一番の大きな理由です。


演奏会は、2月28日、府中の森芸術劇場ウィーンホールにて、昼公演14時、夜公演19時です。
チケット:2000円
お問合せ:Huelgastokyo@gmail.com
(私に会う予定のある方は、直接お申し付け頂いても大丈夫です)

コロナの動向が気になるところですが、予定通り開催されることを願っています。
ぜひこの響きを体感しにいらしていただければ幸いです。


Facebookのページでも、練習の様子などご覧いただけます。https://www.facebook.com/profile.php?id=100063481570070