今年は、簡単に作れそうなおせちは自分で作ろうと思って、いくつか手作りしてみました。
栗きんとん、田作り、黒豆、煮しめ、昆布巻き等。
どれも、買ってくるより甘さ控えめで美味しく、自画自賛しています。笑
自分で作ってみると、それぞれの食材の特徴をわきまえつつ下ごしらえするのも、知らなかったことが多く、食べるだけでは知らなかったことを知ることが出来て、ふむふむと思っています。
中でも、なぜか作ろうと思った昆布巻き。フルート奏者、新井道代のブログです。バロック時代のフルート(フラウト・トラヴェルソ)を中心に、その他の時代の古楽器、また、モダン・フルートでも演奏活動を行っています。 トラヴェルソのワークショップも行っています。 トラヴェルソ、モダン・フルートともに生徒さん随時募集中です。
今年は、簡単に作れそうなおせちは自分で作ろうと思って、いくつか手作りしてみました。
栗きんとん、田作り、黒豆、煮しめ、昆布巻き等。
どれも、買ってくるより甘さ控えめで美味しく、自画自賛しています。笑
自分で作ってみると、それぞれの食材の特徴をわきまえつつ下ごしらえするのも、知らなかったことが多く、食べるだけでは知らなかったことを知ることが出来て、ふむふむと思っています。
中でも、なぜか作ろうと思った昆布巻き。先日、レッスンの時に、先走って答えめいたことを言わずに、生徒さん自身の気付きを「待つ」のがいかに大切か、改めて気づかされたレッスンがありました。
その時は、生徒さんと、アンブシュアについて研究していました。
ある状態からある状態にアンブシュアが動く時に、どのように自分の筋肉が動いているかを観察していただいたのですが、普段、つい先に”答え”めいたことを言ってしまうのを反省して、生徒さんから言葉が出てくるのを待っていました。
そしたら、生徒さん自ら、「ここがこうなるから、結果としてこうなる」という、原因と結果を両方言ってくださったのです。
これは私にとっては結構衝撃でした。今年もあと3日なので、今年について振り返ってみたいと思います。
今年は何といっても、月に1回くらいのペースで山に行くようになったことが自分の中では大きな出来事でした。
それまでも、たまに友人と山に行くことはあったのですが、年に2,3回位。昨日は、アイゼナハ音楽院での年内最後のレッスンで、レッスン後、生徒さんと社長と忘年会に行きました。
家でのレッスンも今日が年内最後です。
今年も皆さんに熱心に通っていただき、充実したレッスンが出来て、感謝しております。
ところで、数か月前に、知り合いの写真家の方にプロフィール写真を撮っていただき、それをホームページにも載せて、サイトの写真を一新しました。
写真は、昭和記念公園で撮って頂きました。前回の記事の続きです。
録音の直前に読んで、非常に救われた本のもう一つは、もともと読書は好きなのですが、先日のレコーディング前には、本にすごく助けられました。
レコーディング前は決して体調が優れているとは言えず、正直3日間の録音を乗り越えられるのか、かなり不安でした。一昨日から3日間、ハイドンの「6つのディヴェルティメント」の録音でした!
自分が中心になって行う初めての録音で、思い立ってから約1年、色々ありましたが、たくさんの方に助けて頂いて、なんとか録音を終えられました!
ヴァイオリンの池田梨枝子さん、チェロの野津真亮さん、ディレクターの小伏和宏さん、スコアチェックの春木英恵さんには、本当に助けて頂いて、この方たちがいなかったら本当に実現しないプロジェクトだったと思います。
他にも色々な方に応援して頂きました。昨日、人生初のラジオ収録に行ってきました。
FMラジオ川越の「音のたねまき」というクラシック音楽の番組です。この「月の世界」からの転用が行われているのは、第1,2,3,5,6曲目においてなのですが、実はここに入っていない4曲目では、バリトン・トリオからの転用が行われています。
”バリトン”、ご存知でしょうか?
写真:Wikipediaより
こんな弦楽器です。
表には6本or7本の弦が張ってありますが、それだけではなく、指板の裏に、9本∼24本の共鳴弦が張ってあります。
この共鳴弦は、表の弦に共鳴して鳴るという事ですが、それだけでなく、左手の親指でも弾かれます。
18世紀末までオーストリア、南ドイツ、東欧などで弾かれていましたが、調律も演奏もとても難しく、その後は段々と演奏されなくなっていきました。
ハイドンが仕えていたエステルハージ家の侯爵、ニコラウス・ヨーゼフ・エステルハージがこの楽器を非常に好んでいたので、ハイドンは175曲ものバリトン・トリオを作曲しています。
今回、演奏する「6つのディヴェルティメント」の第4番には、このバリトン・トリオの第97番の全7楽章の内、3楽章が転用されています。
「月の世界」からの転用では、曲にかなり手が加えられているものもありますが、このバリトン・トリオからの転用は、曲自体はほぼそのままで、バリトンパートをフルートに、ヴィオラパートをヴァイオリンに置き換えてあります。(チェロパートはそのままチェロで弾かれます。)
やはり元々が器楽曲だったせいか、ほかの5曲とは少し違う雰囲気があるような気がします。
ハイドンの生きていた頃には弾かれていた、この”バリトン”という楽器にも、少し思いを馳せながら聴いていただけたら幸いです!
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古楽器で楽しむバロック音楽番外編
古楽器で楽しむ古典派音楽 in アミーゴ!
【プログラム】
F.J.ハイドン:6つのディヴェルティメント Hob.IV:6*,7,8,9,10**,11
(*昼公演のみ、**夜公演のみ)
11月28日にある「古楽器で楽しむ古典派音楽inアミーゴ!」の聴きどころを少しずつご紹介したいと思います。
今回演奏するのは、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンの「6つのディヴェルティメント Hob.IV:6~11」(1784) という曲集です。
この曲集はフルート(又はヴァイオリン)、ヴァイオリン、チェロのための三重奏ですが、ハイドン自身のオペラ「月の世界」からの転用(以前書いた曲又はその一部を再度利用する)が多く見られます。
ハイドンと言えば、交響曲や弦楽四重奏曲が有名ですが、仕えていたエステルハージ家のニコラウス侯爵は、宮殿内にオペラ劇場を建てたほどのオペラ好きでしたので、ハイドンも20数作のオペラを書いたとされています。
「月の世界」はその内の一つで、1777年8月3日にエステルハージ宮殿歌劇場で初演されました。ストーリーは、オペラによくあるような、恋と結婚のどたばた喜劇ですが、それが人間の月に対する想いや想像を軸に進められ、物語に格別な奥行きと面白さを与えています。
ハイドンは、「6つのディヴェルティメント」全6曲の内、5曲(内、6つの楽章)で、「月の世界」からの転用を行っています。ほとんど手を加えずに転用している曲もありますし、かなり手を加えて転用しているものもありますが、いずれにしても、私たちは、フルート、ヴァイオリン、チェロという小さな編成の室内楽曲の中に、オペラの美しいアリアや舞曲、合唱曲などを聴くことができます。
ちなみに「月の世界」は初演後、エステルハージでも他の場所でも再演されることはなかったということです。
ここから推測するに、このオペラをもったいなく思ったハイドンが、ここから「6つのディヴェルティメント」への転用を思いついたのか!?、
または、「6つのディヴェルティメント」の、出版社との締め切りに追われたハイドンが、あまり人に聴かれていない「月の世界」からの転用を思いついたのか!?
・・・真偽のほどはご本人に聞いてみないと分かりませんが、いずれにしても、この曲集は、6曲それぞれがとても個性があり、ハイドンの楽しさや美しさがぎゅっと凝縮されたような、とても魅力的な曲集です!
また続けて聴きどころをご紹介していきたいと思いますが、今日はこの辺で・・!
おかげさまで昼公演はお席残りわずかとなっております。
夜公演はお席、まだまだ大丈夫です! ご都合よろしければ、ぜひお出かけ下さい😀
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古楽器で楽しむバロック音楽番外編
古楽器で楽しむ古典派音楽 in アミーゴ!
【プログラム】
F.J.ハイドン:6つのディヴェルティメント Hob.IV:6*,7,8,9,10**,11
今日は、11月28日のコンサートのダイレクトメール発送作業をしました。
作業をしていたら、インコのモズちゃんが退屈して騒ぎ始めたので、作業の机までケージごと連れてきて、応援していてもらうことにしました!古楽器で楽しむバロック音楽番外編
古楽器で楽しむ古典派音楽 in アミーゴ!
【プログラム】
F.J.ハイドン:6つのディヴェルティメント Hob.IV:6*,7,8,9,10**,11昨日は、奥多摩の檜原村の”森のささやき”にて、無伴奏のコンサートをさせて頂きました。
生徒さんから、檜原に素敵な木工工房があるので、コンサートしませんか、というお話を聞いたのが、確か今年の初め頃。コンサートのお知らせです。
2010年から続けている入間市文化創造アトリエ・アミーゴでの「古楽器で楽しむバロック音楽inアミーゴ」のシリーズですが、11月28日に”番外編”として、
「古楽器で楽しむ古典派音楽inアミーゴ」を開催いたします!
古典派を代表するフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの、「6つのディヴェルティメント」という、フルート、ヴァイオリン、チェロのための三重奏を、当時使われていたタイプの楽器で演奏します。
この「6つのディヴェルティメント」は、ハイドンの作品の中でもそれほど有名ではないかも知れませんが、ハイドンの魅力がギュッと詰まった、素晴らしい曲集です。
どの様に素晴らしいかは、またおいおいこちらでも書いていきたいと思いますが、取り急ぎ、お知らせまで・・・。
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古楽器で楽しむバロック音楽番外編
古楽器で楽しむ古典派音楽 in アミーゴ!
【プログラム】
F.J.ハイドン:6つのディヴェルティメント Hob.IV:6*,7,8,9,10**,11一昨日、8月30日に、9月の発表会に向けてレッスンを聴き合う会を行いました。
普段、個人レッスンで、どうしても私と生徒さんだけの関係になってしまいますが、他の人のレッスンを聴くことで得られることもたくさんあると思い、このような会を企画しました。
希望者を募ったところ、5人、受講者が集まって、それぞれのレッスンを聴き合って良い刺激を受けられていたようです。
発表会まであと1か月。
練習がんばりましょう~😎
ちょっとユニークなコンサートのご案内です。
(こちらのコンサートは満席となりました。有難うございます。9/21記)
東京都の檜原村に、”払沢(ほっさわ)の滝”という、「日本の滝100選」にも選ばれた滝がありますが、その滝のすぐ近くにある「森のささやき」という木工工房にて、演奏させていただきます。
木工工房「森のささやき」のオーナーご夫妻が、私の生徒さんのご友人で、今回このような形でご縁をいただき、とても嬉しく思っています。
6月に、下見に伺ったのですが、バスを降りて木々に囲まれた道を歩いていくと、昔、檜原で郵便局として使われていたという、緑の建物がお出迎えしてくれて、なんだか絵本の中に迷い込んだような、とても素敵な所でした。
こんな小道を歩いていくと・・・
こんなかわいい建物が見えてきます。
コンサートを行うのは、この2階の広間です。
今日は7月10日のコンサート、「バロックの世界~優雅なるバロック音楽と舞の饗宴~」のリハーサルでした。
今日はダンサーの岩佐さんが、スペースが許す範囲で踊りも付けてくださって練習しました。
ダンスのステップを見ていると、こちらも気持ちが上がってきます⤴
段々と全体像が見えてきて、たのしみです。
お席はまだまだございますので、ご都合よろしければお出かけいただけましたら幸いです!
昨日、今日と、7月3日にある、ラス・ウエルガス写本の演奏会の練習でした。
勉強のためと、歌うのが好きだからという理由で参加しているこのプロジェクト、12日(土)は、トラヴェルソを教えているアイゼナハ音楽院の発表会でした。
あれ、ついこないだも発表会あったのでは・・?
実は、年に2回も開催されているのです!
教室としては、年に2回必ず開催するというのはなかなか大変なことなのではと思うので、そして、今回はトラヴェルソではなく、モダン・フルートで参加してきました!
私のクラスで、普段はトラヴェルソ、でもたまにモダン・フルートをレッスンに持ってくる生徒さんがいらっしゃり、今回はその生徒さんと、モダンでテレマンのデュオを演奏し、講師演奏でも、フォーレの「コンクール用小品」を演奏させていただきました。
久しぶりにホール(”ティアラこうとう”でした)でモダン・フルートを吹いて、その音の伸びていく感じが新鮮でした!
後で、講師演奏を撮っていただいた動画を見て、自分の音が、自分で思っていた感じと違っていてちょっとびっくり。
生徒さんとのデュオは、レッスンの時よりずっと良かった気がします。コンサートのご案内です。
まだ少し先ですが、7月10日、三鷹市芸術文化センター「風のホール」にて、22日に、私が企画した”野口体操” のワークショップを行いました。
”野口体操”は、東京藝術大学で体育の教授をされていた、野口三千三氏(1914-98)によって創始された体操で、自分の体の重さと重力を味方につけて、ゆらゆらと気持ちよく体をほぐしたり、自然界のものや楽器やおもちゃなどからも、体の使い方のイメージを得ていきます。
私は1年くらい前から、この "野口体操” を習い始めたのですが、演奏時にもとても役に立つと実感しました。
それで、レッスンの時に、初めに生徒さんと一緒に体操したりすることもあるのですが、今まで、日本語では、何かの解説などで抜粋でしか読めなかった「チャールズ・バーニー 音楽見聞録」が去年、邦訳出版されました。
先日、やっと購入して、少しずつ読んでいます。
イギリス人の音楽学者、チャールズ・バーニー(1728-1814) が、1772年にドイツと周辺諸
国を旅した時に見聞きした、音楽界の記録です。
(フランス・イタリア篇もあります)
各都市での音楽界の様子や音楽家との交流がとても詳細に書かれていて、読みごたえがあります!
分厚いし、お値段もなかなかです。(7000円。でもネットで少し安く買いました‥)
楽譜を見ているだけでは分からない、当時の音楽の背景が分かってとっても興味深いです。
こちらでのお知らせをすっかり忘れておりました 💦
5月15日の、大泉学園インエフでのコンサートは、緊急事態宣言のため再延期となりました!”ラス・ウエルガス写本”という、14世紀初頭にスペインのブルゴスにあるシトー会女子修道院で歌われていた宗教歌を集めた写本がありますが、ここにのっている曲を歌うグループです。本当は去年の7月に演奏会をする予定でしたが、コロナ禍で、今年7月3日へと延期になりました。
本当はゴールデンウィーク中も、全員練習で1日みっちりと練習する日が予定されていましたが、3回目の緊急事態宣言で、オンライン練習に変更になったりしています。
オンラインで合唱の練習!
なんとも難しそうですが、同時に皆で歌うと時間差が生まれて大変なことになるので、音声をミュートにして歌ったり、発音練習をしたりしました。普段の普通に立って歌う練習と、なんだか疲れる場所が違いました・・!
←こんな楽譜を使っています。
黒符定量記譜法などと呼ばれる記譜法です。
練習に行って、皆さんと一緒に歌っていると何となく読めるのに、家で一人でやってみようとすると出来ない・・、なんてこともあります・・。
実は高校生の時に、1年間だけ合唱部だったり、大学でも副科で声楽を取ったりしていて、5月5日に予定されていた、大泉学園 in F (インエフ)でのコンサートは、
緊急事態宣言の発令を受けて、5月15日(土)に延期となりました。
準備期間が増えたので、さらに掘り下げていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします!
***
3月に引き続き、5月5日にまた大泉学園のインエフにて、ガンバの中山真一さんと演奏させていただきます!
今回も、中山さんのソロ(ド・マシ―とドゥ・ビュイソンのヴィオール曲集より)と、日曜日は、飯能の ”ガレット工房 時”にて、「時をかけるフルートコンサート」でした。
今回は、トラヴェルソとモダン・フルートを両方、デュオとソロでお聞きいただくという企画でした。
私は普段はトラヴェルソ、相方の苗代さんは、モダン・フルートで活動しているので、それぞれにとってチャレンジングなところがある企画でしたが、お互いに補い合い、教え合って準備しました。
時代の違う2種類のフルートの、それぞれの良さをお楽しみいただけていましたら嬉しいです。
こちらのお店、演奏会会場として使われるのは初めてとのことでしたが、演奏しやすい所で、雰囲気も素敵なので、是非第2弾をやりたいと思っています!
リハーサルの模様です。
トラヴェルソ
本番が終わったらすぐにブログを更新しようと、毎回思うのですが、ついつい遅くなってしまいます・・。
もう1週間以上経ってしまいましたが、7日の in Fでの曲目を、ガンバの中山さんがブログに書いていらしたので、こちらにリンクを貼ります。
和やかな雰囲気の中、楽しんで演奏出来て、よい本番だったように思います。
また5月5日に、同じ編成でin Fで演奏させていただくことになりました!演奏会のご案内です。
3月28日(日)、飯能市のガレット工房 時(とき)さんにて、このような時節ではありますが、1月30日に、アイゼナハ音楽院の発表会がティアラこうとうで開催されます。
私のトラヴェルソのクラスからも二人参加されます。
ついでに、私も講師演奏でバッハの h-mollソナタ(1楽章のみ)を演奏します。
ご興味ございましたら、ぜひ足をお運びください。
12月26日にあった、コルテ・デル・トラヴェルソ vol.10 ~フルート、ヴァイオリン、チェロで聴くハイドンの世界~ のプログラムノートを、こちらに載せておきます。
*****
【F. J. ハイドン:6つのディヴェルティメント】
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)については、ここで改めてご紹介するまでもないかも知れません。今では古典派を代表する作曲家として知られるハイドンは、29歳で西部ハンガリーの大貴族、エステルハージ家での職を得て以来、亡くなるまでエステルハージ家の音楽家として過ごしました。
ハイドンと言えば、交響曲や弦楽四重奏曲などをすぐに思い浮かべる方も多いと思いますが、今日はフルートとヴァイオリン、チェロという3つの楽器のために書かれた、編成も曲の規模も小さいけれど、ハイドンの世界を存分に楽しめる魅力ある曲集を演奏したいと思います。
ハイドンによるフルートの室内楽曲は決して多くはありません。本日演奏する「6つのディヴェルティメント」(1784)の他、「チェンバロ又はピアノとフルートとチェロのためのトリオHob.XV:15~17」(1790)と「二本のフルートとチェロのためのトリオHob. IV:1~4」(通称ロンドン・トリオ,1794)を数えるくらいです。(「フルート,ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロのためのカルテット」も存在しますが、偽作と考えられています。)
ハイドンがフルートのための室内楽曲を書き始めたのは、1779年にエステルハージ家の当主、ニコラウス侯爵との新しい契約を交わして以降のことです。この契約で、ハイドンの作品に対するニコラウス侯爵の独占権がなくなり、ハイドンはイギリスやウィーンの出版社と契約を結ぶようになりました。
当時イギリスは大陸に先駆けて市民革命と産業革命を経験し、ヨーロッパで最も近代的で豊かな国として、特にロンドンでは、生活に余裕のある上流階級の市民たちが様々な演奏会を楽しんでいました。彼らは自らも演奏を楽しみましたが、中でもフルートはとても人気のある楽器でした。
「6つのディヴェルティメント」はイギリスの出版社、Forsterのために書かれた作品ですし、他の2つのフルートの室内楽曲も、イギリスの出版社のためか、イギリス訪問中に書かれたもので、やはりこれらハイドンによるフルートの室内楽曲と、イギリスにおけるフルート人気というのは、密接なつながりがあったと言えるでしょう。
さて、本日演奏する「6つのディヴェルティメント」には、ハイドンのオペラ「月の世界 (Il Mondo
Della Luna)」と、バリトン・トリオHob. XI:97 からの転用が見られます。転用とは、作曲者が以前書いた作品を取り出して再度利用することで、当時としては全く珍しいことではありませんでした。
ニコラウス侯爵は宮殿内にオペラ劇場を建てたほどのオペラ好きでしたので、ハイドンも20数作のオペラを書いたとされていますが、その内の一つ、オペラ「月の世界」は、1777年8月3日にエステルハージ宮殿歌劇場で初演されました。ストーリーは、オペラに良くあるような恋と結婚のどたばた喜劇なのですが、それが人間の月に対する思いや想像を軸に進められ、物語に格別な奥行きと面白さを与えています。
ハイドンは、「6つのディヴェルティメント」の第4番を除く5曲 (内、6つの楽章) で、「月の世界」からの転用を行っています。ほとんど手も加えずに転用している楽章もありますし、元がアリアや合唱曲の場合は、かなり手を加えて転用しています。「月の世界」は初演後、エステルハージでも他の場所でも再演されることはなかったということなので、ひょっとしたら、イギリスの出版社との締め切りに追われたハイドンが、以前書いた、一度しか上演されなかったオペラの中から数曲を再利用することにしたのかもしれません。
「月の世界」の第2幕、冒頭のシンフォニアは、庭に幻想的な月の世界がしつらえてある、という設定の中演奏されますが、この曲はそのままディヴェルティメントの第1番第1楽章に転用されています。今日のコンサートも、この非常に幻想的な、月を想起させるような美しい曲で始めたいと思います。
ところで、ハイドンがエステルハージ家で初めの頃に仕えていたニコラウス侯爵は、弦楽器のバリトン(6~7本の弦とさらに指板の裏に共鳴弦を持っており、奏者は自分で旋律を演奏しながら左親指で共鳴弦を弾いて“伴奏”することができる)を非常に好んでいました。ニコラウス侯爵はハイドンにもバリトンの曲を沢山書かせましたが、特にバリトン、ヴィオラ、チェロのためのバリトン・トリオは126曲もあります。ディヴェルティメントの第4番(夜公演のみ演奏)は、バリトン・トリオHob. XI:97の全7楽章の中から3つの楽章が抜粋され、バリトンのパートをフルートに、ヴィオラのパートをヴァイオリンに変更しただけで、ほぼそのまま転用されています。滋味深いバリトンという楽器のために書かれた作品がアレンジされたこの第4番は、ディヴェルティメント全6曲の中で、やはり少し違った趣があるような気がします。
今回使用するフルートは、ドイツのドレスデンに工房のあった製作家、A. Grenserの8キーモデル(M.
Wennerによる復元楽器)です。このよう楽器を多鍵式フルートなどと呼びますが、従来のバロック時代から使われていた1キーのフルートでは指使いの工夫で音を作るため、不安定になりがちだったF、B♭、G♯などにもそれぞれに対応する穴を開け、それをキーで操作できるようにしたものです。
ドイツでは1770年代からこうした楽器が作られるようになったと考えられています。イギリスではそれに先駆けてすでに1750年代には多鍵式フルートが作られ始めたようです。ちょうどその頃、イギリスでは産業革命が始まりましたが、楽器製作にも、新たな発明を搭載しビジネスチャンスを狙う動きが生まれ、多鍵式フルートの発展を後押ししました。テオバルト・ベームによって現代のフルートの原型となるベーム式フルートが開発されたのが1830,40年代のこと。多鍵式フルートは、それまでの間、そしてベーム式フルートが本当に世界中に浸透するまでの間、1キーフルートと共に、フルートの歴史の大切な1ページを担い続けました。
トラヴェルソのレッスンをさせて頂いている、アイゼナハ音楽院のホームページがリニューアルされました。
なんと恥ずかしながら、トップページに私とあとお二人が載っています・・・。
が、スマホ版の画像だと私だけ、消えます!
私のトラヴェルソの生徒さんが、”ギター人訪訪”のコラムなどをお手伝いされています。
素敵なページになっていますので、ぜひご覧ください。
なんともう年が明けてから2週間も経ってしまいました!
今年の年末年始は、家で大人しく・・・をそれなりにちゃんと守って、