11月23日(日・祝)に、入間市文化創造アトリエ・アミーゴにて、演奏会を致します。
今回は、「イタリアへの憧れ」というテーマで、イタリア人作曲家の作品や、イタリアの音楽に影響を受けて書かれたフランスやドイツ人の作品を演奏します。
そこで今日は、誰がどのようにイタリアに憧れていたのか?というのを、フラウト・トラヴェルソという楽器からの目線で書きたいと思います。
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バロック音楽は、17世紀になる頃にイタリアでオペラが上演されたのを機に始まったとされています。
一方でフラウト・トラヴェルソという楽器は、18世紀初頭くらいから、まずフランスで流行した楽器で、その頃のフランス人作曲家の作品はたくさん残っていますが、イタリアではどうだったかと言うと、18世紀初頭だと、実はあまり作品がありません。
(有名なヴィヴァルディのフルート協奏曲集は、1729年頃の出版で、少し後になります。)
トラヴェルソの少しくぐもった、哀愁を帯びたような音色は、イタリア人の趣味ではなかったのか、イタリアで流行っていた楽器は、やはり、ヴァイオリン、そして笛は笛でも音が明るくはっきりしているリコーダー、でした。
フラウト・トラヴェルソがフランスで流行し始めた18世紀初頭というのは、バロック時代(17世紀になる頃から18世紀半ば頃まで)的にはすでに後期(盛期)に入っていて、少し(かなり)遅れてやってきた人(楽器)だったわけですが、この頃フランスの音楽がどういう感じだったかと言うと、ルイ14世の絶対王政によって音楽の趣味も厳しく王の趣味に合うように統制されていたそれまでのフランス音楽の様式に、少しずつ、イタリアの様式が融合されていく、という流れの中にありました。
というわけなので、トラヴェルソの作品は、かなり初期のものはフランスの伝統的な様式で書かれているものもありますが、時代が新しくなるにつれて、段々とイタリア様式が融合されていくのが、楽譜を見ても顕著になってきます。(その辺りについてはまた改めて書きたいと思います)
フランスの音楽家にはやはり、この時代の音楽の先駆者であるイタリアに対して憧れがあったようで、太陽王として君臨したルイ14世の晩年、そして没後には、イタリア音楽の様式を取り入れようとする流れが加速しました。
実際に18世紀前半のフランスのトラヴェルソのレパートリーを演奏してみると、フランスの音楽に特有のアンニュイな雰囲気の中に、イタリア音楽の技巧的なパッセージが混在している曲も多く、トラヴェルソには、イタリアの作品は少ないと言いつつも、イタリア音楽の雰囲気を味わうことができます。
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演奏会では、お話も交えながら、実際の音でお聴きいただきたいと思います。
このブログでもまたこの話題について書いていきたいと思っております。
皆様のご来場をお待ちしております!
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古楽器で楽しむバロック音楽inアミーゴ
vol.15 イタリアへの憧れ
2025年11月23日(日)15時開演(14時半開場)
~Program~
J.-M. オトテール:トリオ・ソナタ ニ長調 作品3-2
N. シェドヴィユ(伝ヴィヴァルディ):ソナタ〈忠実な羊飼い〉第6
M. ブラヴェ:フルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調 作品2-3
P.A. ロカテッリ:トリオ・ソナタ イ長調 作品5-3 他
∼演奏∼
案内人 新井道代(フラウト・トラヴェルソ)
ゲスト 岡はるか(フラウト・トラヴェルソ)、富田牧子(チェロ)、崎本
会場:入間市文化創造アトリエ・アミーゴ ホール
(西武池袋線「仏子駅」北口徒歩5分。駐車場に限りがありますの
【入場料】3000円 (高校生以下1000円 *コンサート事務局でのみお取り扱い)
【チケットご予約、お問合せ】 Tel: 050-7132-0903 (コンサート事務局)
【チケット窓口販売】入間市文化創造アトリエ・アミーゴ 04-2931-3500
(窓口販売のみ。公演内容のお問合せはコンサート事務局までお願
Tigetからもお申込み頂けます。 https://tiget.net/events/41701